国と地元、かみ合わぬ熱意


  地域再生マネージャー、提案戻され人選難航 下野新聞 平成14年7月7日

    人選は難航した。地域再生計画の命運が懸かる「地域再生マネージャー」。
   総務省が打診した複数の候補者は皆、二の足を踏んだ。

    事態打開に向け六月十七日、藤原町の八木沢昭雄町長は総務省を訪れた。
   「よろしくお願いします。」と頭を下げる町長に、担当官は言った。「町はマネージ
   ャーにどうゆうことを頼みたいのか」温泉街の大転換を図る町地域再生計画。マ
   ネージャーは、町民のやる気を引き出し、再生の求心的役割を担う。

    「常駐。最低三年。上限年額千五百万円を国、町が負担」。だがその使命は重
   く、「温泉街を変える」具体的成果を問われる。.
   

    「何を望むのか」

    人選遅れの裏には、鬼怒川温泉特有の事情がある。ホスピタリティー問題、
   ホテル間競争、人間関係・・・。「鬼怒川を知る人ほど尻込みする」(担当官)と
   ゆう。

    国が気にかける地元の熱意。「マネージャーに何を望むのか。イベント企画
   力なのか、ホテルの経営改善手腕か、それともマーケティングか」

    町はマネージャーとして「医療系大学との連携を指導できる人」を提案した
   ことがあった。だが、提携する大学、旅館などが白紙のため「具体性に欠ける
   と戻された。

    ゼロから始めた町の再生計画だが、「本音を言えばもつと具体的イメージが
   欲しかった」と町担当官はこぼす。時間が無い上、町の体制、力量にも限界が
   ある。 国指導の計画に戸惑う町ー。具現化の難しさがにじむ。

   空席のまま始動

    産業再生機構支援に加え、総務省は鬼怒川温泉に地域再生マネージャー
   を派遣し、国土交通省も中国からの観光誘客を進める方針だ。「異例の三位
   一体支援なのに地元は何をやっていいか分からない。主体性、危機感が感じ
   られない」。政府担当者は厳しい目を向ける。

    町は六月町議会で地域再生マネージャー委託費用を予算化した。マネージ
   ャーの着任を待って庁内に地域再生推進室をスタートさせる方針だったが七
   月一日、空席のまま見切り発車させた。 国と地元。互いの熱意がかみ合わず
   、「このままではマネージャーが浮いてしまう」と危ぐする声も出ている。

    六月末、都内で全国の地域伝道師が再生事例を発表する「地域自慢大会」
   が開かれた。席上、藤原町の堀川光一収入役は「足銀破綻が温泉街の経営
   難に拍車をかけている。これが一番大きな問題」と訴えた。

    発言を受け、内閣府特命顧問の島田晴男・慶応大教授は指摘した。「足銀
   問題が片付けば解決する、なんて問題じゃない。温泉が悪くなったから、銀行
   が苦しくなったんでしょう? 誰かが助けてくれる、ではなくて、決然たる覚悟
   があるかどうかだ」

    藤原町は今、町ぐるみで再生に取り組む仕組みずくりに向け、新たなマネー
   ジャーの人選提案を用意している。

    スクウェアヒルズオーナーの一言

    島田教授のご意見はごもっともです。私も賛同します。その通りですよ。

    また、実は当町の収入役、堀川さんは、元々農家の出で、この温泉街の
   問題には関係ない方です。収入役とゆう立場上、町の考えとして発言した
   のでしょう。「ご苦労さまです」。

    本当に、わが身にせまる問題となるのは、町長を始め多くの町会議員の
   過半数を占めている方々なのです。また、町長は、当町の誇る最大老舗
   であり、かつ、最大の不良債権先である「あさやホテル」の関係者です。

    これは、全国の観光地によくある形で、当然、当町においても足銀の不
   良債権先とゆう立場が同じ者が議会で当問題を論じるわけで、わが身可
   愛さのあまり一方的な意見であっても町の意見として議決されてしまうの
   です。

    「出来れば、わが身が助かる形で国に温泉街.の再生をしてもらいたい」
   といった具合でしょう。

    あのバブルのころでさえ、どんなに、ハイシーズンに集客を行い儲かった
   としても、越冬資金とゆう足利銀行の追加融資が毎年ないと経営がおぼつ
   かないホテル旅館をまとめて「国の力で助けて欲しい」とゆうのが本音なの
   です。 これでは、再生計画が難航するのは当然のことです。

    鬼怒川温泉の問題は、団体旅行を受け入れるために巨大化したホテル
   旅館が密集したこと。 宿泊客が外に出歩かなくても済むように、館内に多
   くのサービス施設を設けることにより、宿泊客の落とす金の囲い込みをおこ
   なった結果、ホテル旅館以外のサービス業や物販業(おみやげ店など)が
   ほとんど衰退してしまったことにあります。

    その結果、温泉街の再生のために新しく店を外に開いたり、適切ないやし
   の場所となる公園などを各所に配置する土地すらないのです。

    このように、物理的で現実的な再生計画を作成することも、現在の鬼怒川
   温泉街には望めないのです。

    団体旅行が激減する中、個人客をいかに誘致できるかが、温泉街の再生
   のカギであり当町も、「いやしの町、鬼怒川温泉」をめざすことが決定された
   ようですが、しかし、現状では鬼怒川温泉街以外の藤原町内に新しい温泉
   街を作る以外ないのです。

    しかし、策はあります。 国や産業再生機構が現在の鬼怒川温泉をしばし
   放置するだけで良いのです。

    そうなれば、温泉街には再利用できる建物や土地が自然に生まれること
   になりますし、鬼怒川温泉の需要と供給のバランスが自然にたもたれること
   になり、生き残った宿泊業の集客力と収益力がアップしますし、当然雇用力
   も上がります。

    温泉街にとどまらず、町内広域において適正な宿泊価格にみあった新築
   や増改築といった設備投資も増えるでしょう。

    温泉街の大型宿泊施設数が減ることにより、低下した鬼怒川温泉の源泉
   濃度も飛躍的に向上し鬼怒川温泉のブランド化も計れます。

    町民も意欲を取り戻し、新規の事業を起こす環境が整うはずです。

    町議会においても、旧勢力がいなくなることにより産業再生マネージャー
   の仕事がよりやりやすくなることも必定です。.

    一方、これからの日本経済にバブル期の繁栄を望むことは、不可能であ
   ること、二度とバブルの綴を踏まないことが、これからの経済成長の流れ
   であることは、明確なことであります。

    そして、このデフレ不況の中、バブル期にどんなにも儲かっても、不良債
   権先であった大型ホテル旅館を、国力をもって支援することは、よりデフレ
   を進攻させる方策となり、本来ならば健全な宿泊業や時代に合わせて立ち
   上がりつつある宿泊業をも崩壊させることになります。

    さらに、支援され生き残った大型不良債権ホテル旅館で働く人々の収入
   が上がるわけでもないので、地域住民の再生意欲は衰退する一方になる
   ことも明白です。


    この平成大不況の中、国民がやっと収めた血税を国が、バブルのころ栄
   華を極めた一部の権力者のために無闇に使う必要はないのす。

    高齢化社会に向かって、年金や健康保険問題や消費税値上げと国の財
   政悪化は、全国民が知るところです。


    平等な自由経済の中で、藤原町の勢力地図が代わり、鬼怒川温泉街の
   産業再生策が最小の支援で最大の効果を発揮できる環境になるまで、国
   は、支援を見合わせることが正しい地域産業再生支援策の第一歩ではな
   いでしょうか?




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