越冬資金慣習で融通
下野新聞 7月2日掲載記事
再生始動 よみがえれ鬼怒川温泉 5 より
ゴールデンウィーク(GW)中の五月一日。新緑の鬼怒川温泉に向かう国道
は、県外ナンバーの車で混雑していた。
足利銀行の経営破たん後、初めて迎えたGW。経営危機に直面するホテル
の歓迎ボードは、客の名前で埋まった。「四月末から今月四日まで満室。
一千万円単位の額で去年の売上げをうわまわっている。」老舗ホテルの支配
人の表情は明るい。
厳しくなる冬場
温泉街はGWを皮切りに、夏休み、紅葉、年末年始と活気ずく。この時期はバ
ブル経済期も今も変わらない。
しかし、当時から続く悩みは冬から春にかけて。 高級ホテルの社長は「年間
二百三十日は黒字なんだけど・・・。 どんなにもうかっても冬場の運転資金は
融資にたよらざる得ない」とこぼす。
冬でも従業員給与、光熱費、宣伝費など経費は掛かる。「お客様が少数でも
風呂を閉めるわけにはいかない。接客商売だから従業員を減らすにも限界が
ある」。 経費を大幅削減できない業界事情もある。
越冬資金--。 冬場限定で融資を受ける温泉地特有の借入金。好況だった
バブル期でさえホテルは必要とした。
足銀の元支店長は「本来は繁盛期の稼ぎで年間を考えるべきだが、これで
は観光地の生業が成り立たない。一般企業で越冬資金など在り得ない」と特
殊性指摘する。
その融資も金利さえ払えず、借金は雪だるま式に増える。「越冬資金を返済
するのに、また別の融資が必要になる」(高級ホテル社長)
返せない借金の残りを足銀が追加融資し、ホテルが完済したかのように見せ
掛ける「切り替え」。
老舗ホテルの社長は「初めの融資のときに裏約束で決まっている。こっちにし
てみれば資金が途切れる心配がないし、足銀はいつまでも金利で稼げる」。と
もたれ合いの関係を暴露する。
両者の思惑一致
こうした融資実態に、足銀の元支店長は「こうゆう慣習を見直すのは難しい
。一朝一夕にはゆかないし、もしそんな助言をしたら支店にも地元にもいられ
なくなる。 地域の実情に合わせた営業をしている以上、できない」と本音を
漏らす。
足銀自体にも背景がある。 別の支店長は「本店から貸出額を年率30%伸
ばすよう激が飛んだ。 前任者を超えることが業績評価の指標の一つ。出世、
昇進に響く」。 貸し手と借り手の思惑が一致して額は膨らんだ。
昨年十一月二十九日、足銀の経営破たん。 約二十室を持つホテル社長は
越冬資金を心配して足銀支店に駆け込んだ。 「何とも言えない」。支店長は
明確な回答を避けた。今冬、一件当たり数千万から数億円に上がる越冬融資
はストップ。 何とか貯金でしのいだ社長は、足利銀行破たんを凶としない。
「経営意識、悪い慣習をバサッと改革できなければ、ずっと立ち直れない。 今
がそのチャンス」
長年にわたるホテルと足銀のもたれ合いで、ホテルの借金が雪だるま式に
増えた。その多くが不良債権に・・・・・・
スクウェアヒルズオーナより一言
まったく持って許せない話です。 元足銀本店にいた私にとつて、確かに
支店の、旅館ホテル業への、利息のみ返済や越冬資金のことは耳にしてい
た話ですが、まさか利息を払えない先の「融資の切り替え」が慣習化してい
たなんて初耳でした。これは、私どものような零細一般企業にとっつて犯罪
行為に近い取引ですよ。
先日、当館の視察にこられた日光のペンションオーナーさんと話をしたの
ですが、ホテル旅館の原価を無視した超低価格な宿泊料金のおかげで集
客数が激減し宿泊料金の値下げと銀行へは「利息のみ返済」でしのいでい
こと、また、利息の返済が遅れると不良債権機構に債権が譲渡され競売に
掛けられるので、資金難のおりには消費者金融のおせわになっていること
など、境遇が同じであることをお互い確認した次第です。
また、一般宿泊業がこのような状態であるのに、ホテル旅館は、産業再
生機構を通して、国税にて支援されることは、まったくもって理解できない
ことです。
日光地区の産業再生機構の十二億円の支援が決まった「ホテル四季彩
」の宿泊者は、同地区の60%を占めていたと聞きます。
この腐ったミカン(ホテル四季彩)を、設備投資額に見合った高収益な
ホテルに生まれ変わらせ、同ホテルの宿泊者数を再生支援前の30%に
抑えるならば、同地区の他の宿泊施設の売上は相当伸びるものと考え
られるのではないでしょうか?
国税を投入し地域再生を考えるのならば、こういったことも計画に入れ
てほしいものです。
なお、その日光のペンションオーナーさんに、やむおえないとはいえ、
日光のペンション組合の原価を無視した宿泊料金が実は、当館にとって
の宿泊者激減の原因の一つであることは、さすがにいえませんでした・・
.
やはり、私は人がいいのかな・・・・トホホ。
も ど る