上記の資料内容をまとめると、次の様なことがいえます。
保険所では、レジオネラ菌感染予防として、浴槽施設の消毒管理を薦めており、その
中心は、熱処理と水道水の消毒に従来より使用してきた塩素の使用であった。
しかし、塩素は、元来毒である上に、浴槽内に蓄積されやすいアンモニアから発生する
、メタンと科学反応を起こし有力な発ガン性物質「トリハロメタン」を発生させてしまうこと
また、塩素は金属配管を腐食させる性質がある上、国内温泉のほとんどが、アルカリ性
質であり塩素の効果を極端に低下させるので、塩素の大量使用が不可欠となる。
そこで、トリハロメタンを発生させず、金属配管の腐食のない二酸化塩素の使用も薦め
ているが、その揮発性の強さから取り扱いが難しく、その殺菌力の安定性が悪いので
より毒性の強いオゾンや銀イオンの発生装置と塩素の併用使用が最新の消毒方法と
なっている。(安定化二酸化塩素は消毒用としては使用不許可の物質である。)
また、オゾンや銀イオン・安定化二酸化塩素には消臭作用があり塩素臭やアンモニア
臭を消し去るので、形式上の「アルカリ性単純温泉」の大義名分が立ち、多くの源泉を
引き込んでいる温泉旅館・ホテル・ペンション・民宿などには都合がよい物質である。
しかし、相対していえることは、デフレ不況のさなか、自所の集客力を維持するために、
本来、何よりも大切であるはずの「利用者の安全」を忘れているのではなかろうか?。
当然、その危険性は解っているはずです。将来事件発生のおりには、「保健所の指導
に従っていたから」とか、「業者が絶対安全であると言っていたので」とかで責任逃れ
をするシナリオが見えて来るのである。
現在、レジオネラ菌対策と業界の経済対策として全国の都道府県や市町村では、補助
金や資金の援助制度を検討しており、すでに秋田県では実施しているようです。 また、
佐賀県のある公共の温泉では、レジオネラ菌対策として、自動塩素供給装置とオゾン発
生装置および配管の取替えなどで三千八百万円を要したと聞きます。 しかし、デフレ不
況下の民間施設は低価格競争中であり、収益性が無く、捻出不可能な資金なのです。
ここまで、述べさせていただきましたが、当然「それでは、どうしたらよいのか!」、「これ
しか方法が無いではないか!、必要悪だよ。!」と思われる方が多いと思います。
しかし、人体に有害なことを必要悪でかたずけて良いのでしょうか?
方法はあると考えます。
それは、現在の業界構造を変えることです。 簡単に言えば、源泉の温泉配給事業を中
止するのです。世の中に存在する温泉は日帰り源泉だけで良いのです。すなわち、源泉
事業所は、日帰り温泉のみを専業とし、その安全性に専念し、配給中止分の豊富な湯量
を利用し多くの来館者を迎えるべく、巨大な源泉テーマパークを運営するのです。
そして、それを取り囲むように、おみやげ店・外食店・スーパー・物販店・コンドミ二アム・
貸し別荘・民宿・循環式大浴場を持たない旅館ホテルが存在すればよいのです。
既存の循環式大浴場は、温水プールとして使用し、温泉に入らない宿泊者は客室の風
呂を使えばよいでしょう。 食事は、源泉近郊の外食店で・自炊の方は源泉近郊のスー
パーを利用すればよいのです。途中、みやげ店や各種サービス業でお楽しみになれる
でしょう。
これにより、安全な温泉の確保と旅行本来の目的である、その土地の風土をより、アク
ティブにお楽しみになれるはずです。
従来の旅行のパックとゆう形は、一見便利なように思えますが、実は、その中身に保障
がないのです。 その料金の中でのサービスが原則ですので、過度の思い入れは禁物
です、宿泊してその現実を思い知らされたとゆう経験はよくあることです。
また、現在デフレ不況の元凶を成す業種の一つが宿泊業です。とくに、大型旅館ホテル
は、バブル期に多大な設備投資を行った所が多く、バブル崩壊後その返済が滞っており
ます。本来、宿泊料金の低価格化競争には、介入できないはずなのです。しかし、現実
は、その主流を成しております。
これは、メインBANKが、不良債権の発覚をおそれ、元金返済を据え置き、利息のみ返
済をバブル崩壊後、不本意にも容認しているからです。場合によっては、その利息さえ
もより、低率にしている所もあるでしょう。当然、その条件として収益性の安定を要求さ
れます。このため、人件費の削減はもとより、より経費を削減する為の食材の選定や有
効利用、循環式浴槽の過剰な有効利用は当然のごとく行われているのです。
有効利用といえば、聞こえは良いですが、事実、低価格化競争下の有効利用は、温泉
や食の安全性の低下・危険性の増加に他ならない。といっても、いいすぎではないでし
よう。
前述の対策は一つの私の案ではありますが、なんらかの早急なる対処が望まれるもの
であります。
「毒を以って毒を制したとしても、結局毒は残るのです。」
コンドミニアム
スクウェアヒルズ
総支配人 平成14年10月 記